出世すると金は儲かる?

男性のステータスとして、また「良いこと」として「出世」というイベントがあります。出世するということは、仕事をより上のレベルから見渡し、より責任を負いながらより組織に貢献するということであり、とても「名誉」なことだとされてきました。

ですが、近年ではこの「出世」に対する意識が少しずつ変わってきているようです。「出世」は「ポジション」がなくては叶いません。そして「ポジション」は組織が大きくなれば増えるものです。逆にいえば組織が縮小していけば、ポジションもなくなっていくということです。ポジションがなければ「責任」ある立場、つまり「役職者」も生まれないのです。

一般的に「出世する」ということは「ほまれ」であるとされてきました。それは「社会的な立場」が一歩広がるということであり、さらには「より多くの給与がもらえるようになる」からでもあります。多くの給与がもらえるようになるということは、それだけ生活が潤うということでもあり、家族を養う力が増えるということでもありました。私たちは出世を目指して日々努力しているものでした。

ただ、近年ではこの「役職」や「ポジション」がそこまで大きな意味を持たなくなってしまったようなのです。「肩書き」だけ与えられ、実質給料は変わらないというようなケースが多くなっています。また、「労働」に付き物の「残業」では、「残業代」が支払われるものですが、この「名ばかり管理職」では「残業代」が出ないことがあります。「みなし残業」という言葉があります。それは「30時間分の残業代をあらかじめ給与につけておく」というものです。

この「みなし残業」が「名ばかり管理職の沼」となっているのです。

「名ばかり管理職」に多いのは、飲食店の店長などです。飲食店の多くは店長がひとりと、あとはアルバイトで構成されていることが多いです。飲食店の「店長」はそれらのアルバイトを巧みに管理しながら、店舗の売り上げを上げていく重要な職責を負っているのです。ですが、言葉にするとそれは「やりがいのある仕事」のように思えるのですが、実際には「一人でなんでもこなす」ような存在としての「店長」となっていることが実態です。

アルバイトはシフト制ですし、最低限の責任しかありません。それらのアルバイトは休みたいときには休み、稼ぎたいときには稼ぐという気ままな存在です。学生のアルバイトなどは長期の休みになったりすると里帰りなどで長くシフトを外したりするものです。そのような状況を埋めるのが「店長」です。

そしてチェーン店などでは実際の「店長」の権限などはほぼなく、本部主導型の運営がほとんどです。そのような状態で「売り上げ」の責任だけは負わされるのですから、たまったものではありません。気がつけばみなし残業時間以上の労働をしていて、アルバイトと同じような仕事ばかりしていることになります。自分の将来を考える余裕もなく、ビジョンも何も見えなくなり、気がつくと心身ともに疲れ果てている。そのようなことになりかねません。

「出世」するとどのような状況におかれるのか、それをしっかりと見極めることが大切です。その「肩書」は本当に自分にとってプラスなのかどうか、考えましょう。

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